以下「株式日記と経済展望」からの貼り付けです。
「捜査報告書は検事の記憶違いではない。ほぼ全部が架空なんです」
「総理につぶされたとは思っていません。でも、あっという間にクビになっちゃった」
2012年6月7日 木曜日
◆「指揮権発動について再び首相と会う前日に更迭された」、「小沢裁判の虚偽報告書問題は『検事の勘違い』などではない!!」小川敏夫前法務大臣に真相を聞いた 6月7日 長谷川幸洋
検事による虚偽の捜査報告書作成問題に関して、小川敏夫前法相が退任会見で検事総長に対する指揮権発動を考えていたことをあきらかにした。法相の指揮権発動とは穏やかでないが、いったい背景に何があったのか。当事者である小川前法相に6日午後、議員会館でインタビューした。
すると、問題の田代政弘検事に対する捜査・処分をめぐって、法相と法務省・検察事務当局の間で生々しい「暗闘」が繰り広げられていた実態が浮き彫りになった。
小川は5月11日に野田佳彦首相に面会して、検事総長に指揮権を発動する考えを伝えた。そこでは首相の了解が得られないまま、二度目の面会が開かれる直前、内閣改造で突然、事実上の更迭となった。更迭の理由は「国会で携帯の競馬サイトを見ていた」とか「弁護士活動でトラブルがあった」などと一部で報じられたが、小川はまったく納得していない。
小川は「捜査報告書は検事の記憶違いではない。ほぼ全部が架空なんです」「(指揮権を発動する考えを)総理につぶされたとは思っていません。でも、あっという間にクビになっちゃった」などと語った。以下、インタビューでのやりとりを紹介する。
それ以外も全部が架空なんです
長谷川: 指揮権発動はいつごろから考えていたのか。
小川: この問題はそもそも裁判所で指摘されているわけですよ。(小沢一郎の裁判で秘書の)石川さんの供述調書が証拠として排除されましたね。田代検事が数日かけて作成したという捜査報告書も「(検察の)組織的関与が疑われる」と猛省を促している。これは事実を的確に表していると思う。
ぼくはインターネットに流出した捜査資料を読んでみました。捜査報告書については、法務大臣に就任してから非常に重大な関心をもって「国民の理解を得られる対応をしなければいけない」とあらゆる機会に言ってきた。
長谷川: なるほど。
小川: それで裁判で証拠の排除があって、捜査報告書を読んでみると、これは田代検事の記憶違いじゃない。とうてい言えない。マスコミも検察にうまく乗せられているような気がします。つまり「(石川が田代から11万人以上の選挙民から支持されて国会議員になったと言われた)一部分が架空だった」というように書いているけど、実際の報告書を読むとそうじゃない。ほぼ全部が架空なんです。架空の一つの例として「11万人」が挙がっているだけ。それ以外も全部が架空なんです。(石川がしていた秘密の)録音の中には一言も出てこない。
長谷川: その点を省内で指摘された。事務方はなんと言ったのか。
小川: 「(田代の)勘違いだから」と言っていた。そこら辺は大臣としての省内のやりとりだから(詳しくは)勘弁してもらいたいけど、ようするに田代検事の勘違いというのは、とうてい考えられない。
検察は無罪になる証拠しか集めていない
長谷川: それが納得できなかった?
小川: だれも納得しないでしょ。裁判所が言っているとおりですよ。
長谷川: それで指揮権という話になったのか。
小川: ぼくは何度も言っているとおりで、国民の理解が得られる対応をしなくちゃいかんと。つまり田代個人の記憶違いということで終わらせるな。それではなんの反省にもなりませんから、と言い続けたわけ。でも馬耳東風で聞き流されて、新聞にどんどんリークして。(田代の)記憶違いという弁解を破れないだなんて言って、ちょろっと人事で相談なんて言ってるから。一般的に言っても聞かないんだから、じゃあどうするかっていう話になる。
長谷川: そこで指揮権発動を考えた。
小川: うん。それしかないでしょ。たとえば今朝(6月6日)の朝日新聞の社説でね、検察審査会で判断すればいいだなんて言ってるけど、まったくトンチンカンですね。
長谷川: どうして?
小川: 検事は無罪になる証拠しか集めてないんですよ。田代の記憶違いだと。それを破る証拠を集めてないんですよ。それが検察審査会にいって、どうなります?
長谷川: それはムリですね、素人がみても。
小川: 証拠がないんだから。田代の弁護人が捜査してるみたいなもんですよ。だから検審にいくっていう意味がない。有罪の証拠を集めずに無罪の証拠を集めている。そういう風につくっているんだから。捜査記録は見ていませんから、断定的に事実関係を言えないけど、記憶違いとしか言ってないんだから、集めてないんです。
長谷川: 捜査報告書をみればあきらかだと。
小川: 私、こんな録音記録ね(ファイルを見せながら)読みましよ。こんな長たらしいの。流出資料ですよ。こんな細かいの。(ここには)ないんです。さっき言った(捜査報告書に書かれた)やりとりが。全部ないですよ。私が「ないじゃないか」と言ったら、法務省は「ない」と認めました。
で、さっきも言ったけど、マスコミは11万人の部分だけを、あたかも全体の中の一部のように言うけど、それは当局の誤った情報に誘導されているんじゃないかと思う。中身、ぜんぶ嘘なんだから。(後略)
(私のコメント)
日本は官僚独裁国家であり、特に検察は官僚独裁体制を支える根幹になっている。先日の無罪判決でも検察官による虚偽の捜査報告書が批判されていましたが、検察官の記憶違いだけで済まそうとしている。捜査報告書は裁判に大きな影響を与えるから、記憶違いの捜査報告省が作られるような検察では、捜査自体が信用できなくなる。
特に小沢一郎裁判は、検察による政治家への見せしめであり、官僚に逆らえば検察が動きますよと言う脅しなのだ。情けないのは野田総理大臣であり官僚のいいように扱われてしまっている。総理から各大臣に至るまで半年から一年くらいで交代していくのだから、官僚は好き勝手なことが出来る。たまにうるさい大臣が来ると総理に圧力をかけて辞めさせてしまう。
憲法上は国会は国権の最高機関と定められているのですが、官僚が立法も司法も行政も権限を実質的に握ってしまってる。総理大臣や各大臣にいくら権限を与えても、行使できる能力がなければ絵に描いた餅だ。官僚たちは各省庁であったような裏金を貯め込んで税金を横領しても首になることは無い。国家予算は天から降ってくるものではなく、国民の税金だから裏金を溜め込めば公金横領になる。
総理や各大臣が毅然として処分が出来ればいいのですが、総理も大臣も官僚に取り込まれて、国民の代表である自覚を忘れてしまう。国会議員が国民に目が向くのは選挙期間中だけであり、当選してしまえばマニフェストなどきれいに忘れてしまう。
今回の内閣改造では問責決議を受けた防衛と国土交通大臣が交代するだけかと思っていましたが、小川法務大臣も交代したのは意外だった。その原因は、虚偽の捜査報告書を作成した田代検事が「勘違いだった」と言うだけで処分が見送られたことに対して、法務大臣が指揮権を発動して調査させようとした事に対する逆処分だったらしい。
大臣が虚偽の捜査報告書を作成した検事に何らかの処分は当然だと思うのですが、「記憶違い」と言うだけで済ませるらしい。それで小沢一郎は裁判にかけられる結果になりましたが、裁判の判決は無罪だった。現在の検察は腐敗しきっており、フロッピーディスクを改竄した検事がいましたが、証拠を捏造してまで起訴して裁判まで持って行こうとする。
「株式日記」でも「国策捜査」の乱発を批判してきましたが、これは政権からの指令ではなく検察が勝手に動いて、自分たちに都合の悪い人物を陥れようと言うのかもしれない。検察は法務省の一機関だから政権からの指示で動いていると思われてきましたが、検察官僚が勝手にやっている可能性もある。検察官僚の功名心で暴走しているのかもしれない。
今日のニュースでも、東電OL殺害事件で再審が決まりましたが、証拠物から容疑者のではない他人の体液や毛が被害者から出てきたことが決め手になった。このような物的な証拠がありながらなぜ無期懲役の有罪にされたのだろうか? 検察が決め付ければ有罪になってしまうような暴走が起きているのだろうか? このように検察は勝手にシナリオを作って、それに合った証拠集めしかしていないようだ。だから冤罪事件が出てくる。
検察の大改革をしなければ「国策捜査」の乱発は起きるだろうし、政治家は検察を恐れるようになり、官僚たちの言いなりになる。法務大臣には指揮権がありますがそれが発動されたことは一回しかない。大臣と言えども権限があっても行使が出来なければ官僚は大臣を馬鹿にして勝手な行動を取るようになる。公務員給与を勝手にジャンジャン上げて天下り先も作りたいほうだいになり、大臣は言いなりになってしまう。
国会議員は国民の代表だから、行政組織を監督するのが役目ですが、巨大化して複雑化した官僚組織は伏魔殿であり、大臣は簡単に丸め込まれてしまう。マスコミも記者クラブを通じて官僚に丸め込まれるから始末が悪い。記憶違いで間違った捜査報告書が作られては国民が迷惑しますが、検察は身内の処分で誤魔化すらしい。