2010年03月08日

草食男子と除草剤。



最近「草食男子」という言葉をよく耳にしますが、CNNの気になるニュースがあります。

アトラジンはホルモンかく乱物質(環境ホルモン)として疑われてきたが、高濃度での影響として考えられてきた経緯があります。

記事の後にアトラジン含有の除草剤の商品名を記載しておきますので一読ください。

以下、CNNニュースより。

【除草剤でオスのカエルがメス化」 米化学者らの研究

(CNN) 米中西部の農業地帯などで広く使われている除草剤アトラジンの影響で、オスのカエルの生殖能力が低下し、一部はメス化して産卵することもあるとの研究結果を、米カリフォルニア大バークレー校の化学者らが発表した。

世界各地で両生類が減少している原因のひとつとも考えられるという。

研究は、同大で爬虫類、両生類を研究するタイローン・ヘイズ氏らが実施し、米科学アカデミー紀要の最新号に掲載された。

それによると、オスのカエルを低濃度(2.5ppm)のアトラジン溶液の中で長期間育てたところ、全体の4分の3に男性ホルモンや精子が減少するなどの兆候がみられ、1割は完全にメス化した。

メス化したカエルはオスと交尾し、産卵したという。
アトラジンは長年、安くて手軽な除草剤として、とうもろこし農家などを中止に幅広く使用されてきた。

人体への影響ははっきりしていないが、欧州連合(EU)は2004年、飲料水に含まれる量が有害物質の基準である0.1ppmを上回っているとして、使用を禁止した。

米国では2006年、米地質調査所(USGS)が実施した調査で、農業地帯から採取した河川の水の約7.5割、地下水の約4割からアトラジンが検出された。

水中のアトラジンは、公共給水施設や家庭で使われるカーボンフィルターで除去が可能とされる。
しかし、小さな町などではこうした設備が普及していないため、一部住民がアトラジンの製造メーカーに除去費用の負担を求める訴訟を起こした例もある。

また、米環境保護局(EPA)は昨年、アトラジンとがんの発生の関連を調べる研究を開始。
結果によっては現行の安全基準(飲料水で3ppm未満)を見直すなど、規制を強化する構えを示している。

一方、最大のメーカー、シンジェンタ(本社・スイス)はウェブサイト上で、「水中のアトラジンが消費者の健康を脅かす恐れはない」との立場を示す。
同社はさらに、大学などでの研究により、アトラジンがカエルの成長などに影響を及ぼさないことも確認されたと主張している。】


記事は以上。

アトラジン atrazine はトリアジン系の除草剤で、トリアジン系除草剤にはCAT(シマジン)やアメトリン・シアナジン・シメトリン・メトリプジンなどがあります。
 
アトラジンはゲザプリムという商品名で知られ、シンジェンタ社が製造している。
トウモロコシやサトウキビ・アスパラガスなどの栽培に使用され、混合剤は芝生や非農耕地の除草に使用されています。
 
低濃度のアトラジンがアフリカツメガエルの性分化に影響を与えることが最近分かってきました。
アフリカツメガエルは、実験によく使われるカエルです。
 
2002 年 3月カナダのコンコーデア大学のタベラメンドーザらのグループは、アフリカツメガエルの性分化に対する低濃度のアトラジンの影響を報告しまた。
 
研究グループグループ は、アトラジン使用の多い米国中西部のユタ州からアイオワ州までの8か所でウシガエル Rana pipiens を採取し、アトラジン濃度を調べました。

この結果、アトラジン使用量が少ない地域でもアトラジン汚染が見られ、低濃度のアトラジンを含む場所を除く全ての場所の雄カエルに、性腺の発達不全や半陰陽が見られました。
特に、0.2 ppb以上のアトラジンを含む全ての場所のカエルの精巣中には卵が見られました。
 
これはアトラジンがテストステロンをエストロゲンに変える酵素、アロマターゼを誘導し、エストロゲンを増やすために、雄カエルで精巣の発達不全や半陰陽(精巣の中に卵がある)を導いたと考えられているようです。
 
研究には反論もあり、同じ様な実験で「私たちはアトラジンが生殖腺の異常を起こさないと言わないが、私たちは同じ閾値レベルでそれを見なかった」という研究者もいるが、その研究費はスイスのアトラジン製造をしているシンジェンタ社から出ているという。
つまり自己弁護をしているにすぎない。
 
アトラジンに関する日本の水質基準はまだ設定されていない。
WHOの飲料水のガイドライン値は2 ppbであり、カエルで影響が現れた値の 何と20 倍となっている。
日本の水質検査でも影響が出る値に匹敵する濃度が河川水から検出されている。
 
オタマジャクシはほとんどを水中で生活し、そのため影響が大きく現れる可能性があり、アトラジンと地球規模での両生類の減少との関連が疑われている。
 
この除草剤は急性毒性は弱いと考えられているようですが、マウスの腹腔投与でリンパ腫を、ラットの経口投与で雄で乳癌が、雌では子宮癌と白血病とリンパ腫が有意に増加したと伝えられている。

また雌ラットで乳癌の発生を促進するという報告もある。
また、変異原性も確認されているとのことである。
 
アトラジンは、安全性や有効性の問題のために、フランスやドイツ・イタリア・スウェーデン・ノルウェーなどで禁止されているが、我が国の住人は、この薄い農薬スープをいつまで飲むのだろうか。

▼一般名:Atrazine

▼種類名:アトラジン

▼商品名:ネコソギ(エース)粒剤、ゲザプリム、Gesaprim、A Atrex, Primatol A, Atratol

▼用途:除草剤

▼作用性: アトラジンはチバ・ガイギー社が開発したトリアジン系の非ホルモン型、移行性除草剤で、畑地一年生雑草に土壌、あるいは茎葉に散布する。

土壌処理すると、根から吸収移行し、発芽を抑制する。

サルモネラで変異原性。
マウスの骨髄細胞に染色体異常。
ショウジョウバエに突然変異をおこす。
ラットADIにして10~50mgで成長抑制、白血球減少がみられる。
妊娠ラットにADIにして800~1000mg投与すると胎児数が50%に減少した。アトラジン・CAT複合剤をマウス腹腔内及び皮下注射で腹膜中皮腫やリンパ腫

■残留基準値:麦・雑穀(0.02ppm)、果実(0.02ppm)、野菜(0.02ppm)、サトウキビ(0.02ppm)



▼環境特性(一部)

土壌残留性が強い

■土壌有機炭素吸着定数(Koc)・・・305
土壌への吸着の強弱を表す数値。大きいほど土壌に吸着されやすい。
■土壌中半減期(S-DT50)・・・・・60~150d
■流出指数(RI)・・・・・・・・・369(中)
農薬の土壌表面から水系への流出程度を示す。小さいほど溶け出しにくい。



▼毒性:WTO Class Table5, EPA Class III、魚毒性A類

■生物濃縮係数(BCF)・・・3.6(小)
■一日摂取許容量(ADI,mg/kg)・・・なし
■飲料水基準(μg/l)・・・2(WTO)


 

【参考資料】
金澤純,農薬の環境特性と毒性データ集,合同出版
香月繁孝,数賀山靖,後藤宗玄,農薬便覧,農文協
農薬残留分析法研究班編集,農薬の残留分析法,中央法規出版
植村振作, 河村宏, 辻万千子, 富田重行, 前田静夫, 農薬毒性の事典, 三省堂


つづく。



posted by コスモ at 13:37| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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